紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
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  「害虫防除の常識」    (目次へ)

    3.害虫の発生状況の調査法と予測法

     1) 害虫の発生状況の調査法

 作物を栽培する時に、作物を病害虫から守らなくてはならない。ここでは、害虫についてだけ触れる。以前、「害虫を発生の仕方から類別してみる」(害虫防除の常識 1の1))で、作物を栽培していると、ほとんどいつも発生してくる常発性害虫や、時々、突発的に発生して被害を与える突発性害虫、通常の防除をしている場合には発生が少なく被害に結びつかないような潜在性害虫の3つのカテゴリーに分けた。もちろん、それぞれの区分の境界に位置するような害虫もいる。害虫を調査する場合に、このような害虫の発生の仕方を頭に入れておく。

 栽培している作物について害虫の種類とその発生状況を知っていると、(ア)防除をすべきかどうか、あるいは、いつ頃したらよいのかが分かる、(イ)どのような薬剤を使用したらよいのかが分かる、(ロ)早期に害虫の発生状況を知ることによって、害虫密度を低く抑えやすい、(ハ)栽培作物をよく見回って害虫の発生を調べることによって、作物に対して注意を払う度合いが増し、経営にプラスになるというメリットがある。

 また、害虫の発生状況を調査し分かるようになると、防除適期に効果的に防除を行えるので、農薬使用量や散布回数を少なくし、防除経費を削減でき、環境への負荷をより少なくすることができ、減農薬栽培をアピールする基となる。また、何よりも害虫の発生状況を調査することは、農薬の安全使用基準(
害虫防除の常識 2の3))を守って作物栽培を行っていく上で不可欠のことである。

 常日頃、害虫の発生状況を調査して把握することは、時間がかかり面倒かも知れないが、作物栽培の基本であるので励行すべきだ。作物の生長と害虫の発生を詳しく知ることによって、作物栽培と自然への理解が深まり、技術的な向上の喜びにつながる。

 害虫の発生状況の調査法を述べた後で、発生の予測方法について述べていくが、まず、次回から、
1)直接観察する調査法(見取り、すくい取り、たたき出し、掘り起こし)、
2)トラップを利用した各種の調査法(フェロモン、光、色彩、誘引剤、餌トラップ)、
について順次説明していく予定なので、既に知っている部分もあると思うが、読み進めて欲しい。
 (写真:三角屋根のトラップの中に、フェロモンを含浸させたゴムキャップが貼り付けてある)
  
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